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【オナニー用官能小説】初めて解ったこと

初めて解ったこと

無自覚の欲情

秋とはあの日以来、連絡が取れなくなった。

"相手なんてまた見付ければいい"

最初こそ少し驚いたが、そう思って特に何も考えなかった。

「どうしたの?ぼんやり電話眺めて」

電話の画面から声が聞こえた方を見ると、膝上まで真っ白なバスタオルのみを身に纏った、紅愛がオレを見下ろしていた。

「…いや、何も」

曖昧に答えてから待受画面を消して、ベッドヘッドに置こうとすると、彼女はそっとオレの手から電話を奪い、望んでいた場所に置いた。

そして、バスタオルの巻き目に手をかけ、1周ずつゆっくり解いて、バサッと足元に落とす。

シャワーの熱で淡い桃色に染まった素肌。手に余る2つの膨らみの上でつんと上を向く、完熟した蛇苺のように鮮やかに色付いた乳頭。女らしく括れたウエスト。そして、逆三角形に生える、柔らかそうな繁みに覆われた秘処。

いきなり曝された申し分ない紅愛の裸体に、局部の温度が緩やかに上昇した。

誘発の潮吹き

「…はぁっ、んっ…あぁっん、」

女の部分に、指を付け根まで刺し込んで奥の方を軽く掠めると、紅愛は半身を捩らせ悦びに奮えた。

まだ前戯にも関わらず、登り詰める所まで登り詰めたと思ってしまうほど、彼女のそこは温泉でも湧き出たように、熱く潤んでいた。

「んっ、はぁんっ、」

2本の指を、上を向いて硬くなった陰茎に見立て、軽くスラストするだけで、泥濘に足を踏み入れたみたいな音が鳴り、熱と濡れた感覚がオレの指を包み込む。

何ともイヤらしい感覚を味わいながら、指先の行動範囲を広げた時だった。

「ああんっ…!」

紅愛の唇から甲高い叫びが漏れたと同時に、彼女の肢体が、弓のように滑らかな曲線を描いて仰け反った。

「ここ?」

「ひあぁぁっ…あっ、あぁっ…!」

意地悪く聞きながら、段違いに彼女が反応した場所を指の腹をつつっと滑らせると、また体をしならせ甘く叫んだ。

強い悦楽に反応してか、指を飲み込むそこが、また更にじんわりと湿り出した。

無色透明だが官能を漂わせる大量の誘い水は、紅愛の下半身の唇では収まりきらず、彼女のお尻の狭間を伝い、粗相でもしたようにシーツを濡らしてはシミを作った。

痛がってる様子もないし、これだけずぶ濡れならいけそうだ。

そう思ったオレは、紅愛が一際悦がった部分を、集中的に同じ力加減で擦るように触り続けた。

「ああっ!…あぁぁんっ!…ダメっ、漏れるっ、何か漏れちゃうっ…!」

涙をボロボロ溢し、助けを乞う言葉を言いながらも、彼女は腰を浮かせたり畝らせたりと、淫靡な動きを繰り返す。

紅愛のそんな仕草を見ていると、突然、プシャーっと効果音が付けれそうな程の、清水のようにさらりとした水が、勢いよく溢れ出てきた。

「はぁっ、はぁっ…あっ!…ん、はぁ、」

埋め込んだ指を抜くと、その部分からも、収まり切らなかった迸りが、オレの指や紅愛のお尻を伝ってはシーツに溢れる。

唯でさえシミを作った部分に、更に大きなそれができ、冷たくなる位に、シーツをびしょびしょに濡らした。

鯨のように潮を吹いた彼女は、そんな事を意に介さず全身をぐったりさせ、恍惚とした顔でオレを見てきた。

その表情が、秋が絶頂を迎えた時の表情に重なった。

『秋がオレの指使いで潮を吹いた』

そんな想像をした途端、静かに下を向いたままの股のぶら下がりがもたげ出した。

蘇る扇情

「今度は私がやってあげる」

通常より1オクターブ低くて熱混じりの声で言いながら、紅愛は体をノロノロ起こして、芯を持ち始めている肉の塊に指先を添えて立てると、皮の中に隠れている先端に唇を付けた。

皮を被った亀頭部を引き出すように、彼女は出口に尖らせた舌を這わせた。

しかし、緩く硬くはなっているものの、頭の部分は皮が捲れず、挿入できる位の芯が入っている気配は無かった。

疲れてる訳でもない、アルコールが回っている訳でも緊張してる訳でもない。

何で?さっき少し勃ったのに。初めて起こった現象に内心で焦った。

だが、直ぐに"ある事"に気が付いた。

オレは視界をそっと閉ざして、秋の姿を想像してみた。

ザラついて潤う彼女の舌。興奮する部分を的確に刺激する、蛇のように長く柔軟な舌使い。

すると、思い出すだけで熱が中心に集い、ついさっきの焦りが嘘のように、肉の塊に再び精気が送り込まれた。

それに呼び起こされ、反抗して顔を出さなかった雁首までが、素直に外に出てきてくれた。

不安が払拭されたところで視界を開けると、中心に顔を埋めているのは当然ながら秋ではなく、紅愛だった。

改めて理解した事実に、オレの意思に反して、しゃんと上を向いていた怒張が一気に芯を無くした。

「え、何で?元気だったのに」

露骨な落ち込み具合に、彼女も驚きを隠せないでいた。

「続けて」

落ち込みを無かった事にするように、いつもより低くなった声で続きを要求し、驚きに加えて心配そうな紅愛の表情を最後に、オレは再び視界を閉ざした。

リスのように口一杯にオレの昂りを含み、溶けかけの黒飴みたいにうっとりした瞳。

リップグロスを塗ったように口腔液で妖しく煌めく、艶やかで厚い唇。

やはり思い浮かぶのは、扇情を擽る秋の姿だけだった。

秋の姿を想像しながらも、紅愛の愛撫は続く。

上から半分は彼女の咥内に咥え込まれ、入り切らない部分は指先で握られる。

生温かく湿った感覚に、指先で緩く拘束される乾いた感覚。

全く違う2つの感覚、違う速さで上下に擦られれば、紅愛の唇や手で扱われている部分から、全身をジワジワと甘い痺れが巡る。

異なる感覚と速さは純粋に気持ち悦く、予想不能な刺激に飽きが来ることも無かったが、理性が切れる程の快楽は感じなかった。

彼女の舌や指先が度々、感じる場所に触れるが、何事も無かったように掠めるだけで終わり、悶々とした不完全燃焼な気持ちがどんどん蓄積されていく。

オレの感じる場所を知ってる秋なら、こんなやり方じゃなかった。

その部分ばかりを執拗に刺激して、オレを快楽の高みに導こうとしてくれた。

秋とのオーラルセックスを思い出していると、紅愛は口腔液をより絡めて擦る速度を速め、故意にジュプッジュプッと音を大きな音を立てた。

そして、それと同時に指先の動きも激しくした。

最高潮の悦楽を与えられず、焦りと不安を感じて躍起になっているのか、目覚めきってない熱情を、無理にでも呼び起こそうとする。

性的な快感を催す場所を外されてる以上、紅愛なりの一生懸命な愛撫も、"激しく擦ればイカせられる"と言うような粗雑な愛撫にしか思えなかった。

そう思い始めたら、何だか気持ちがどんどん冷めていき萎えてきた。

覚ませない欲望

オレは目を開け、股座に埋まる紅愛の頭を押し返すと、ベッドに仰向けにさせた。

そして、彼女の手と唇から解放されて上を向く昂りに、忙しない手付きでコンドームを被せ、小刻みに収縮する濡れた肉の隙間を掻き分けていく。

「あんんっ…!」

オーガズムに導き、潮まで吹かせたのもあって、熱を持った狭間は非常に柔軟で、すぐにオレの欲望を形どっては優しく絡んできた。

「あぁぁっ、」

濡れ肉を掻き分けて侵入した先は、ローションでも仕込んだように熱くてグズグズで、奥への侵入をスムーズにしてくれた。

そんな蜜な感触は、秋と繋がった感触を蘇らせた。

食い千切られそうな程の密着、入り口から最奥までを満たす誘い水のような極上の潤い。

『遥くん、』

切なそうに歪められた表情で、切羽詰まって助けを求めるような、性的な歓喜に奮えた声でうわ言のように溢されるオレの名前。

そんな秋の恥態を追い求めるように、目の前の腰を掴んで、半ば強引に根元まで埋め込んだ自身を、内壁に擦り付けるよう、外から奥へゆっくりした速さで動かした。

「あぁっ、…あぁっ、」

オレの律動的な突きに合わせ、上半身の豊満な膨らみが不規則に揺れて、上下左右に垂れ流れたり、元の形に戻ったりと、紅愛の意思を無視して奔放に形を変える。

「ああっ…ダメっ、やめてぇっ、動いちゃ…!」

甘く振るえて声音が定まらない、支離滅裂とした否定的な言葉が聴覚を刺激する。

『もっと、もっと動いてぇ…』

今、オレが犯しているのは紅愛であって、秋ではない。

しかし、首から上が視界に入ってない紅愛の淫猥な醜態は、秋との濃蜜な時間をこれ以上なく鮮明に、オレの記憶から引き出させた。

「…ダメっ、イッちゃう…!」

痛い位の締め付け、従順に悦びを表現する艷声に艶姿。

脳に視覚に聴覚、触覚までもが目の前に居ない秋の存在で満たされた。

「あぁっ!…イクッ…!…っ!」

その喘ぎと少し強くなった締め付けと共に、掴んでいる腰が弓なりに反り、一瞬だけベッドから浮いた。

宣言通り、紅愛は2回目のクライマックスを迎え、浮かせていた腰をベッドに沈ませた。

布団が彼女の体を受け取る音や軋む音と、乱れた浅い息遣いが部屋中に響き、セックス終わりの空気が漂う。

「…遥?」

紅愛が名前を呼ぶ声を遠くに聴きながら、締まりが緩くなった肉孔から昂りを取り出した。

取り出されたそれは、避妊具の役目を保ったまま、精気を蓄えたまま天井を向いていた。


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