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【オナニー用官能小説】初めて解ったこと

初めて解ったこと

ドア越しの景色

紅愛と会った日以来、取っ替え引っ替えセックスしたいと思わなくなった。いや、正しくはできる気がしなかった。

レポートをやろうと、40人弱規模の講義室に入ろうとした時だ。隣のほぼ同じ大きさの講義室の灯りが、ドアの小窓から漏れていた。

全ての講義が終え、清掃のおばさんすら通らない今の時間帯、ここを誰が使っている?好奇心を煽られて、そっと中を覗いた。

「…誰も居ない」

人影は見えないが、部屋の半分は蛍光灯で照らされて、消し忘れと片付けるには不自然な点き方だった。更に気になったオレは、もう1つのドアから中を覗いてみた。見えた光景に、思わず目を見開いた。

入り口に近い真ん中の席。窓に横姿を見せ、机に座る男の上に女が跨いで抱き合い、顔を近付けていた。明らかに"最中"の光景だった。

それだけなら良かったが、薄く目を開け、顔の角度を何度も変えて貪るような口付けを交わす女を、見間違えなかった。

見知らぬ男と抱き合うその女は、突然オレの前から居なくなった秋だった。他に相手が出来たからオレとの関係を勝手に解消したのか…。

姿を消した理由が解って清々しながらも、ご無沙汰だった彼女の姿を目にした瞬間、心臓の鼓動が急に速くなり、ドキドキと気持ちが高鳴った。

それと同時に、股のぶら下がりもゆっくり意思を持ち始め、下着とパンツを確実に押し上げていく。この場を離れようと思うのに、鉛でも下げられたように、オレの足は動かなかった。

心と体が喧嘩する中でも2人の行為は進んでいて、たっぷり口付けを交わして顔を離すと、男が秋の黒いジャケットの1つボタンを外し、肘まで脱がせた。

蘇る肉感

すると、ボタンを外す時間も惜しいのか、ベージュのブラウスの裾を捲り上げ、露わになった、ネイビーのブラジャーに覆われた膨らみを両方とも鷲掴みにして、円を描きながら揉んでいく。

柔らかい肉の感触を充分に堪能したのか、男は、谷間部分を白いレースで縁取られたネイビーのカップをずり上げた。すると、型から取り出されたゼリーのように、布から肉感的な膨らみがぷるんと溢れ出した。

顔を出したのは、小豆に少し牛乳を混ぜたみたいな色の小さく丸い台座。そして、"喰ってくれ"と訴えるように、その上でぷくっと膨れている同じ色の蜜豆程の突出物。

男が何か言ったのか、或いはまじまじ見られている情況を恥ずかしがっているのか、秋の頬は酔っ払ったみたいに淡い桜色に染まっていた。

そんな彼女の、露出させた膨らみの左に彼は顔を埋め、もう片方は人差し指の先で優しく突つく。

先端の尖りは、芯が入ってコリっとしていて硬かった。膨らんでいる肉は、柔らかいけどクッションのようにハリや弾力があって、触り心地が最高だった。

扉1枚隔てた先に広がる光景は、しばらく味わっていなかった感触を思い出させる。

秋はブラウスの裾を両手で押さえながら、その手の甲を唇に当て、喘ぎを抑えて欲を抑えているように見えた。

そんな彼女の耳元に男は顔を寄せて、何かを囁くと、少し間を空けて、秋は首をゆっくり縦に振った。

何を言われたのかと思っていると、彼女が男の上から下り、そのまま机に座ると、秋のミニスカートの中に手を入れて、ブラジャーと同じネイビーのパンティーを引き下ろした。

そして、ニーハイソックスに覆われた彼女の脚を大きくM字に開かせ、女の部分を露にさせた。開脚状態の隙間から、黒い茂みがちらりちらりと覗く。

指の跡が残りそうな力で、秋の太股をがっちり押さえると、男はその部分に顔を埋めた。彼女の目がきゅっと閉じられ、頬は濃い桜色に変色し、更に表情を歪ませる。

その横顔は険しく、痛みを堪えているようにも見えたが、それには不釣り合いに、唇が無防備に開いていたり、脚がピクピク振るえていたりした。

他人の目に晒されない部分を暴かれた恥じらい。もしかしたら、誰かに見られるかもしれない緊張。

彼女が堪えているのは痛みではなく、それらが迷彩柄のように入り交じる、女としての性的な興奮。艷めかしい欲求に、心身共に従順であった秋。

そんな秋の、男を受け入れる部分はどう変貌したのだろう?そこに舌を這わせたらどんな味がするのだろう?

顔に茂みが当たるのも厭わず、男がより深く唇を埋めると、彼女の脚や上体がまたピクンと振るえた。火照って膨れて食虫植物のように口を開いているに違いない、温かい蜂蜜水のようにねっとりと甘いに違いない。

悦楽を産み出す部分へと姿を変えたであろう、秋の局部を想像しては悶々とした気持ちになっていると、彼女は男の頭を押し返して、愛撫を止めさせた。

想像のフェラチオ

少しの間、動かず顔を合わせていると彼らは場所を交換し、今度は秋が男の局部をまさぐった。まさかと思った瞬間にはもう遅く、彼女はそこに顔を埋めた。秋の頬が不規則に窪む。

彼女の無意識なその仕草を見て、なるべく音を立てないよう、ベルトをゆっくり外し、すっと下着の中に手を忍ばせた。

触った訳でも触ってもらった訳でもない。秋が快楽に悶える姿を見て、思い出しただけで、オレの欲は収まりつかなくなっていて、薄い布を少しだけ濡らしていた。

ゴソゴソと、下着の中で棒のように硬くなった部分を、5本の指で上下にゆっくり擦り上げた。すると、既に天辺の吹き出し口から垂れていた先走りが多くなり、指の隙間に入り込み、握っている塊を濡らしていく。

目線を小窓に戻すと、彼女は、口に含んでいる肉の塊を出し入れし、ピストン運動のように頭を左右に振っていた。そんな秋を見ながら、握る力を少し強くし、擦る速度も少し速くした。

性感を産み出す部分が強く刺激されて、出っ張った部分に熱が集まり、全体の硬度と質量をまた増大させる。親指の腹を、亀頭の凹凸のない滑らかな部分から、裏筋に向かって滑らせて回転させながら、零れ続ける先走りを塗り付けた。

零れるそれは秋の口腔液、親指は彼女の舌だと思うと、それに誘われて、秋がオレのを咥えている姿が脳内で再生された。睫毛が長く伏し目がちの、涙が溜まった真ん丸の瞳。舌の動きに合わせて、膨れたり窪んだりする頬。

懸命とも健気とも言える表情は、物欲しそうにも見えて、オレの心を昂らせた。

「っ、」

階段を駆け上がるように、急激に強くなった悦楽を、溢れてしまいそうになった喘ぎと一緒に、喉の奥に抑え込んだ。

「はぁっ、…はぁっ、」

中を見ながら呼吸を整えていると、秋は男の欲を口から離し、彼女が彼の上に乗る最初の体勢に戻った。

ドア越しのセックス

しかし、最初と違って、すぐに彼の上に乗らず、ゆっくり腰を下ろしていく。

『あぁぁっ…!』

腰を落とす程に、瞳を細めて薄く唇を開け、崩れていく秋の表情から、一際高い声を上げ、男を己の中に受け入れているのが容易に理解できた。

欲を握っている力を強め、彼女の中に入り込んだ時に、溶けそうな熱さと、強く密着された感覚を思い出す。

『入ってるっ、遥くんのが…!』

奥に入る度、秋は淫らな言葉を口にすると理性を飛ばして、オレが与える刺激にだけ身を委ねてくれた。

扉1枚挟んだ先に居る彼女は、もう完全に腰を落としていて、上下に体を揺らしている。秋の肢体の動きに合わせて、ブラジャーから溢れて剥き出しにされた、ミルク色にも見える肉の球体が、ゆさゆさと上下に揺れる。

先端の、小豆牛乳のように色付く、乳輪と乳頭が彼女の淫らさを演出する。単純な演出に容易く煽られたオレは、秋の上下の律動に合わせて、強く握っている手も上下に動かし、熱くなっている皮膚を擦る。

しかし、男の高みが近かったのか、彼女に律動の主導権はもう存在しておらず、乱れているとも見える揺れが、数段速くなっていた。

『あぁっ、遥くん…!』

意識より肉体が率先して快楽を欲していて、無意識に擦る手も速くした。

『当たるっ、当たってる…!』

激しく体を揺らしながらも、上体をエビのように仰け反らせる秋から、そんな声が聞こえてくる気がした。

『遥くん…!』

悦楽の極致まで登り詰める瞬きのようなほんの一瞬、縋るように名前を口にされたら、同じ場所に引き摺り込まれて、もう限界だった。

手を止めて鈴口を手で覆い、きゅうきゅうに締め付けられた感覚を再現するよう、覆っている部分を強く握った。掌に、熱い迸りが多量にぶちまけられる。

初めて解ったこと

「あっ、…はぁっ、」

全て吐き尽くして呼吸を整えて小窓を覗くと、秋は男と触れるだけのキスを交わして、余韻を味わっていた。

仲良さげに睦み合う2人の姿に、とうとう居たたまれなくなった。下半身を整え、秋と男に気付かれるのも構わず、どたばたと落ち着きのない足取りでこの場を離れた。

夢中で駆けて足を止めたのは、上の階の似たような真っ暗な講義室の中。電気も点けないまま、手に持っていた用具をすぐ側の机に置いて、欲液を受け止めた手を広げた。

真っ暗で見えないが、掌はまだぬるっとしてて、違和感しかなかった。久しぶりに欲求を満たしたのに、気分は全くすっきりせず、満たされない鬱々とした空気だけがオレを支配した。

秋に捨てられた。今になってその事実を初めて理解した。そして、もう1つ理解してしまった。

体だけじゃなく、心から秋を欲していた事実に。

『体だけの関係なら良いよ』

そんな返事を彼女に渡した自分を、酷い後悔が苛んだ。

もう遅かった。

そう解ると、広げている掌にポタリポタリと熱い滴が溢れた。

(終)


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