「囲いたい」の意味
おととしの夏、私は妻子ある男性と付き合っていました。
当時私は23歳、彼は33歳。
共通の趣味を通じて知り合い、イベントなどで何度か顔を合わすうちにお互いを意識するようになりました。
「浮気されてから、妻とはもう3年もまともな会話をしていない、家庭内別居だ。近いうちに別れる、本当だよ」彼は私と付き合う前、こう言いました。
それが本当の気持ちだったのかどうか、今となってはわかりません。
でも当時の私はその言葉を信じていましたし、彼のことを一切疑おうとはしていませんでした。
その彼と3回目のHをした時のことです。
その日、彼は私と過ごすために仕事を調整して1日休みを取ってくれていました。
私はそれが嬉しくて、今日はこの人に精一杯喜んでもらおう。そう思ってラブホテルに入りました。
言葉で、動作で、たくさん気持ちを伝えました。
「僕が今幸せなのは全部君のおかげだ。ありがとう」
そう言ってくれた彼は本当に幸せそうで、私もとても嬉しかったです。
楽しい時間というのはあっという間で、すぐ夜になりました。
帰り際、彼は「今日の君は最高だった。できることならこのまま君を囲いたいと何度も思った」そう、言いました。
それを聞いて私は少しも喜べなかった。喜ぶどころか、思い出しました。
H中、たびたび彼が漏らしていた「まずいな…はまっちゃいそうだ…」という台詞にも違和感があったことを。
私が彼の台詞を聞いて素直に喜べなかった理由、それは普通に付き合っているカップルならば、まず使わない単語が合ったからです。
「囲う」「はまる」こうした言葉は不倫関係でないとででこない言葉ではないか。
私はあくまで彼にとって「家庭を持ちながらにしてできたただの恋人」なんだろうな、そう思いました。
彼に悪意はないのがわかるだけに寂しかった。
不倫関係を長く続けていくことへの罪悪感がどうしてもぬぐえず、その後2週間ほどで彼とは別れてしまいました。
1度だけ彼から「離婚した。君と出会えて妻と別れる決心ができたこと、本当に感謝しています」というメールがありましたが、それっきり連絡は取っていません。
ですがあの時の、切ないような寂しいようななんともいえない気持ちは今でもずっと残っています。
私は欲望を満たすだけの相手?
彼女は、きっとモヤモヤする思いやさまざまなことが入り混じった感情でいっぱいだったでしょう。
一般的に不倫相手にハマってしまえば、その言葉を鵜呑みにしてしまいがちです。
「ハマっちゃいそうだ。」「囲いたい。」などと言われれば、本気の言葉と解釈しますます泥沼へのめり込んでしまう方も多くいます。
しかし彼の言葉が、彼女の目を覚まさせてくれたのですね。
悪意はなかったのかも知れませんが、そういった言葉を安易に口に出してしまうような男性だったのでしょうか。