目次
アキツシマにいざ出発!
イザナギとイザナミは八つの大きな島を生み終えました。
しかし、生んだだけで終わりというわけにはいきません。二人は自分たちの生んだ島がどんなふうに成長したのかを知りたくなりました。特にオオヤマトアキツシマはずいぶん大きく成長して、二人のいるオノコロ島からはその東の果ては霞んで見えません。
そこでまず、この島に行ってみることにしました。オノコロ島からアキツシマまではそれほど遠くはありません。二人は身支度をして船に乗って出かけました。波は穏やかで、心地のいい風が吹いています。海の流れは二人の船を東へ東へと運びます。
やがて二人は岸辺にたどり着きました。そこから東の方を見渡すと山が連なっているのが見えます。その中には、二つの頂を持つ山がありました。
「あの山も夫婦なのかな。」
「そうかもしれないわね。」
山を越えると平らな土地に出ました。そこには三つの可愛らしい小さな山がちょうど三角の形を作っていました。
「あの山のうち、二つは男で一つは女だよ。」
「まあ、それじゃあ、もめ事が起こらないかしら?」
「起こるね。女を巡って男たちが争うんだ。」
「わたしたちはそんなことにはならないわね。だって、あなたと二人だけなんですもの。」
イザナミはイザナギを見つめてにっこりと笑いました。イザナギはイザナミを抱きしめたい気分になりましたが、三つの山に嫉妬されてはたまりません。その場を離れて、今度は北の方へ向かいました。
琵琶湖の水辺でたわむれて
二人は岸辺に到着しました。澄んだ水面はそよ風に揺られてさざ波をたてていました。
「海だわ。ここがアキツシマの果てなのかしら?」
「海にしてはおかしいな。色も香りも違う。」
イザナギは水を手ですくって少し飲んでみました。
「ん? 塩辛くないぞ。」
「本当?」
「本当だとも。」
イザナミも飲んでみました。
「本当だわ。ここは何なのかしら。」
「海にしては淡いから淡?(おうみ)と呼ぶことにしよう。」
岸辺に佇む二人に、いたずら者のつむじ風がやってきて、波のしぶきをかけました。
「わあ!」
「きゃあ!」
二人はぐっしょりと濡れてしまいました。
濡れたイザナミの衣が透けて肌がうっすらと見えています。まるで霞がかかったようなその身体はいつもよりも美しく見えました。イザナギがしげしげとイザナミの身体を見つめていると、イザナミもイザナギの股間が大きくふくらみ、中のモノが燃え立つように赤黒くなっているのが透けて見えました。
イザナミは思わず頬を赤らめました。桃色の肌の中から薄紅色の乳首が立ち上がりました。衣を通してもそれがわかるのです。
二人はもうたまらなくなり、互いに強く抱きしめ合いました。
そして唇をむさぼり合いました。
「ん…、ん…、ん…。」
濡れた衣で楽しむ着衣セックス
ひとしきり唇の感触を愉しんだ後、イザナギはイザナミの衣の前をはだけました。しっとりと濡れた肌が光の中できらめいています。イザナギはその胸の中に顔をうずめました。
「ああ、なんて柔らかいんだ。」
そして、片方の乳首を舌でなめまわし、もう片方の乳首を指でつまみました。
「あ、あん!」
イザナミが嬌声を上げます。
イザナギはさらに衣の裾をたくし上げようとしましたが、濡れた衣は身体に張り付いて、なかなか思い通りになりません。でも、そのもどかしさもまた新鮮な心持ちです。
ようやくイザナミのホトがあらわになりました。イザナギはイザナミを浜の砂の上に押し倒しました。
「行くよ!」
「来て!」
イザナギはイザナミの膝の裏に手をかけて脚を持ち上げ、そしてそのまま自分の肩の上に乗せました。
「んん…。」
イザナミは少し苦しそうです。でも、イザナギのモノがホトに入り、ズンと奥まで達すると身体が喜びに打ち震えました。
「ああああ!」
イザナギも精を思いっきり放出しました。
二人はしばらく浜辺で並んで横になっていました。波が二人の足に打ち寄せてきます。
「ふふっ、足がくすぐったいわ。」
「そうだね。」
イザナギは身体を起こすと、水の中へと入っていきました。
「ああ、気持ちがいい。火照った身体が冷やされて、さわやかな気分だ。お前も入ってこいよ。」
イザナギはそう言ってイザナミに水をかけました。
「ま、よくもやったわね。」
イザナミもざぶざぶと水の中に入って、お互いに水のかけあいっこになりました。二人の笑い声が響きます。
ふとみると、イザナギの姿が見えません。
「まあ、どこに行ったのかしら。」
イザナミがきょろきょろと周りを見回していると、何者かに足首を捕まえられてしまいました。
「きゃあ!」
「あははは、びっくりした?」
イザナギが水の中に潜っていたずらをしかけたのです。
「もう!」
「ごめんごめん。今度はここでしようよ。」
「水の中で?」
イザナミの答えを待つまでもなく、イザナギの指がホトに忍び寄っていました。
「あん!」
二人の身体は水の中でひとつに解け合いました。浮いたり沈んだり、波のゆくままに運ばれてみたり、逆らってみたり。
「すてき…、すてきだわ。」
「このままお前といっしょにどこまでも流されてみたい…。」
「ええ、あなたと一緒ならどこまでも…。」
ただよう二人はやがて岸に打ち上げられました。
日が沈みかけていました。茜色の夕日に照らされたイザナミは今までで一番美しく見えました。
「イザナミ! きれいだ!」
「イザナギ! あなたも!」
二人はまた口づけを交わしました。
吉備児島の誕生
二人はそこから東には行かずに元のオノコロ島へと戻りました。東の方には流れの急な川がいくつもあり、その向こうには高く険しい山なみが見えました。子どもを妊んだイザナミにとってはたいへんな旅になりそうなので、引き返したのでした。
オノコロ島に帰還してから生まれたのは、小さな島でした。吉備児島(きびのこしま)といいます。神様としての名前は建日方別(たけひかたわけ)です。身体は小さくとも、お日様のように明るい元気な男の子です。
(その代わり、なぜか壱岐・対馬がはずされています。)
ともあれ、瀬戸内海の要衝として重要な島であったことはまちがいないでしょう。
【神 性 喜劇】 日本編 Vol.10
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