目次
愛が憎悪に変わる時
「見・た・な…。」
ヨモツシコメや雷(いかづち)たちとの乱行にふけっているところを見られたイザナミは、イザナギを恐ろしい表情でにらみつけました。
「イザナミ、約束を破ってすまん。見るつもりはなかったんだ。ただ、あんまりお前が戻るのが遅いから、つい、心配になって…」
「言い訳無用!」
イザナミの怒りは収まりません。
「よくも…、よくも…、わたしに恥をかかせたわね。こんな醜い姿を見られてしまうなんて…、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらないわ!」
「恥ずかしいだなんて…。おれは、瀕死のお前が吐いても屎や尿を垂れ流しても、厭うたりはしなかっただろうに。どんな姿であろうと、お前はお前じゃないか!」
「うるさい! うるさい! うるさい!」
イザナギの懸命の説得をも、イザナミは聞き入れようとしません。
「とにかく、あなたは黄泉国でのわたしの本性を見てしまったのよ。こうなったら、あなたもこの黄泉国の住人になるしかないわ!」
黄泉国は、イザナギとイザナミのふるさと高天原とも、二人で作り上げた葦原の中つ国とも全く異なる世界です。そこに住むヨモツシコメも雷も、そして姿を現してはいませんが黄泉神も、みな別系統の者たちで、高天原の神の支配は受けません。
イザナギのように神であればこそ、かろうじて黄泉国と行き来ができるのですが、人間であれば二度と戻ってくることはできません。まさに「死」の世界なのです。
「それは困る。おれは二人で作った葦原の中つ国を完成させるために、お前を連れ戻しに来たんだ。お前がどうしてもここに留まるというのなら、おれ一人でも戻らねばならない。」
イザナギはそう言って、後ずさりしようとしました。すると、その動きを見て取ったヨモツシコメたちが目にもとまらぬ素早い動きでぴょんとイザナギに飛びつき、両足にしがみつきました。
「な、何をする。」
その様子を見て、イザナミが冷たく笑いました。
「ふふふ…。あなたもヨモツシコメの愛撫を受けるといいわ。そうすれば、自分から進んで黄泉国の住人になりたがるでしょうから…。」
ヨモツシコメのみだらな攻撃と誘惑
「さあ、さあ、おとなしく、わしらに身を任せるのじゃ。」左足に取り付いた方のヨモツシコメが言いました。
「あちらでは感じたことのなかった愉しみを心ゆくまで味わうがよい。」
そして二人のヨモツシコメがイザナギが、イザナギを押し倒しました。
「よ、よせ…。」
イザナギは二人をふりほどこうとしましたが、どうしても離れません。
「む…、むむ…。」
性には抗えない本能のせいでしょうか。気持ちの悪い女ではありましたが、ヨモツシコメはとんでもなく美しいメリハリのある裸体でした。顔さえ見なければその姿だけでもオナニーできるほどのいい女。
それにその舌使いはとんでもない快感を呼び起こします。イザナギが反応してしまうのも無理はありません。
ヨモツシコメは、イザナギの上にまたがりホトを顔に押し付けてきました。しっとりと濡れたホトからは、興奮をそそるニオイがしてきます。イザナギは思わずホトを指で撫でてしまいました。
するとイザナミのものを丹念にくわえるヨモツシコメの口からは、くぐもった色っぽい声が漏れイザナギの聴覚を刺激します。
「ふぅっ…ん」
もう一人のヨモツシコメは、イザナギの横で豊満な胸を揺らしながらイザナギの両乳首を指と口で刺激しています。
イザナギは二人の女に犯されているゾクゾクする快感に溺れてしまい、ホトに指をいれながらたまらずその胸を掴み揉みしだきました。
「っ…あぁいいわ…」
淫らな攻撃は次第に淫らな誘惑に変わり、イザナギを官能の渦に巻き込んでいきました。イザナギはヨモツシコメの濡れたホトにむしゃぶりついてしまいました。
舌を尖らせホトに差し込み顔を前後させると、ヨモツシコメの身体はビクビク反応し愛液はとどまることなく溢れてきます。イザナギの舌がクリトリスを捕まえいやらしい音を立てて吸い込むと、ヨモツシコメは腰をくねらせ絶叫しました。
「あぁん…もっとぉ!」
横でイザナギの乳首を責めているヨモツシコメは、イザナギに乳首をつままれながら自分でホトを激しくかき回しています。
辺りは3人の熱気でムンムンと立ち込め、いやらしいニオイが漂っていました。
3人が卑猥に絡まる光景を見ていたイザナミも、ホトの奥が疼いてきました。イザナミはイザナギの顔の隣にしゃがみこみ、ホトを見せつけるかのように広げ指でピストンを始めました。
濡れて光ったホトからは、ジュブジュブと愛液の音が聞こえてきます。「あぁ…愛しのイザナギ。また私のここを毎日愛してちょうだい。奥が熱いの…あなたのモノがほしいの…よ」
イザナギは、3人の女の喘ぎ声が響き渡るエロティックな状況に身も心もトロけそうになりました。今までに体験したことのない淫奔な雰囲気は、昇天させるほど甘いものでした。
淫らに乱れるイザナミのホトへも手を伸ばすと、ヌルリとイザナギの指を飲み込みました。
ヨモツシコメのホトにむざぼりつき愛液の味を堪能しながら、もう一人のヨモツシコメの胸を楽しみ、イザナミの膣内の感触を感じる。イザナギの身体や思考全てが快楽を感じていました。
『あぁイザナミ。おまえがいてくれるなら…。それにこんな快楽の中毎日を過ごせるのなら…。』
『…もう…イキそうだ。あぁイザナ…ミ…』
イザナギの反撃
イザナギの思考が黄泉の世界にのめり込み精を吐き出しそうになった瞬間、ヨモツシコメの膣から出てきたウジがイザナギの舌にぺったりと張り付き、イザナギはハッと我に返りました。
それだけでなくイザナミのホトからもウジがウジャウジャわき、乳首をつまんでいるヨモツシコメもウジまみれです。それまで自分がすすっていた愛液も泥のような色で、黒か緑や茶色かわからないようなものでした。
イザナギは自分の髪を一房つかみ、それをむしり取りました。
「くっ!」
その痛みでイザナギの意識は冷静さを取り戻しました。そして髪と共にむしった髪飾りに「元に戻れ!」と念じ、それを遠くに投げました。すると、髪飾りはたちまちヤマブドウの木になりました。その髪飾りはヤマブドウの蔓で作られたものだったのです。
ヤマブドウはおいしそうな実をたくさんつけました。すると、ヨモツシコメたちはさっきまでの淫らな行為など忘れたかのように、その実を拾ってむさぼり食い始めました。
「今だ!」
イザナギはその隙に、全力で元の世界に向かって駆け出しました。
ヨモツシコメは常に餓え乾いています。何かしらの欲望を満たすことが彼女らの行動規範です。
目の前に女が現れれば女を犯し、男が現れれば男を犯します。しかし、彼女らにとって性欲よりもさらに強い欲望が食欲なのです。だから、目の前に食べ物が現れるとすべてを忘れてそれに飛びつくのでした。そして、その欲望は永遠に満たされることはありません。
ヨモツシコメたちはブドウの実を全部食べてしまうと我に返り、すぐにもう一度イザナギを追いかけました。
「待て〜!」
「待たぬか〜!」
イザナギは右の髪に挿していた櫛を取って、また「元に戻れ」と念じて、それを後ろに投げ捨てました。その櫛は竹から作ったものだったので、今度はタケノコが生えてきました。イザナギはもうこれで追ってこれないだろうと安心して後ろを振り返りました。
ところが、ヨモツシコメたちはそのタケノコを、すさまじい勢いで抜いては食い、抜いては食いして、ついに食べ尽くしてしまいました。
追ってくるのはヨモツシコメだけではありません。あのイザナミの身体に取り付いていた八種類の雷たちまでもが、武具を身につけた巨大な武将の姿となり、数多くの軍勢を率いて追いかけてきたのです。これは、ヨモツシコメの苦戦ぶりに業を煮やしたイザナミが派遣したものでした。
イザナギは、イザナミが自分を本気で黄泉国の住民にしようとしていることを悟りました。そこで、腰に帯びていた十拳の剣を抜き、後ろ手に雷たちを追い払いながら、さらに逃げていきました。
ついに、イザナギは黄泉ひら坂という場所にたどり着きました。そこは黄泉国とイザナギたちが作り上げた葦原中つ国との境なのです。
「あと、もう少しだ。もう少しで逃げ延びられる!」
しかし、雷の軍勢はもう間近にが迫っています。けれども、イザナギにはもう、髪飾りも櫛もありません。
「何か…、何か助けてくれるものは…。」
【神 性 喜劇】 日本編 Vol.19
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