【神性喜劇】 日本編

『イザナギとイザナミ、若い二人へのセックス指南』

「天の浮き橋」は吊り橋効果満点

イザナギとイザナミの二人は、神様の会議で、「天の沼矛」を下界のくらげの中に突っ込んでかき回し、新しい島を作るという使命が授けられました。

しかし、二人が天界から闇雲に下界に矛を降ろしてもうまくいきません。弾力のある肉のようなものに跳ね返されてしまうばかりで、なかなか受け入れられません。

困っていた二人の頭の中に不思議な声が響きました。

「わしは天の沼矛じゃ。イザナギよ、イザナミよ、ちょうど具合のいいことに『天の浮き橋』が出現している。この上に立って、二人の最初の共同作業を始めるのだ。」

「えっ?」

「早くせんか。ぐずぐずしていると消えてしまうぞ。」

しっとりと濡れた大気の中を日の光が照らすと、その作用で天界に浮かぶ橋、それが天の浮き橋でした。

二人は言われたとおり、その橋の上に立ちました。赤く塗られたその橋は、二人の興奮をいやがおうでも誘いました。

橋の下の方は、橙、黄、緑、青、藍、紫と順番に美しい色が並んでいます。

しかしそこから見える下界は、海原とも大地ともつかない何かぐちゃぐちゃどろどろした不気味なものがただよっているばかりでした。

風が吹くと橋はかすかに揺れます。

「こわい。」

「大丈夫だよ。」

二人は手に手を添えて矛を握りしめ、下界に降ろしていきました。

(註)「天」という字は「あま」と読むと、古事記に注釈が入っています。

「天の浮き橋(あまのうきはし)」、「天の沼矛(あまのぬぼこ)」はOKですね。「高天原」も「たかまがはら」ではなく「たかあまのはら」と読むのが当時の読みでした。

天界最大の男根「天の沼矛」

矛はどんどん長く、太く、堅くなっていきます。

イザナギは握りしめた手でそれを感じながら、自分自身の股間の肉塊が同じように、長く、太く、堅くなっていくのがわかりました。

「あ…、ああ…。」

「イザナギよ、わしと共鳴しておるな。しかし、まだ気をやってはいかん。イザナミよ、イザナギの頬をひっぱたけ。」

イザナミは言われたとおりに、ひっぱたきました。

「何をする!」

「だって、ヌボコ様がそう言われるのだもの。」

「だ…、大丈夫だ。そんなことしなくても。」 

風がひゅうひゅうと吹き、空が曇り、下界は大きくうねり出しました。日の光が弱まると、天の浮き橋の色もだんだん褪せてきました。

焦る二人に天の沼矛は落ち着き払って言いました。

「二人ともよく耳を澄ますのじゃ。風と波の音に混じって何者かの声が聞こえてきたじゃろう。」

「う……う……う……うー!」
< 「声のする方をよく見るがいい。渦を巻いているのがわかるじゃろう。あれが、ウマシアシカビを生んだくらげじゃ。」

性欲の化身くらげ

「あれが、くらげ!」

「そうじゃ、『くらげ』と呼んでおるが、実はくらげではない。性欲の化身なのじゃ。

周りのものを飲み込み、時に破壊し、時に新しいものを生み出す。

わしはあの中に身を投じるから、お前たちはわしをしっかり持って『こをろこをろ(許々袁々呂々)』とかき混ぜるのじゃ。いいな。」

天の沼矛はいよいよ長く、太く、堅くなっていき、ずぶりとくらげの中に入っていきました。中は粘りけのある液体で満たされています。その中を矛はゆっくりと回転しながら進みます。

イザナギは共鳴しないように必死で我慢しました。それでも、どうしても欲情の吐息が漏れてしまいます。

「う…、うう…。」

イザナミに聞かれたら、と思わず気を取り直しましたが、ふと見ると、イザナミの方も恍惚の表情を浮かべています。

「あ…、あ…、ああ…。」

「イザナミ! しっかりするんだ。」

「えっ、今わたしどうしていたのかしら。」

「どうやら今度はイザナミの方がくらげに共鳴しておるようじゃ。もうすでにこの中は愛液で十分潤っており、性の気を存分に発しておる。イザナギはイザナミの手綱を引き締めておるかな。」

矛はしっとりした愛液に包まれながらさらに奥に突き進みます。

すると途中で岩盤のようなものにぶつかりました。くらげの動きが一瞬止まりました。まるで矛のこれ以上の侵入を拒絶するかのようです。

「ふむ、ここはくらげの中でも最も敏感なところじゃ。けっして乱暴に扱ってはいかん。優しく、優しく、ていねいに、ていねいに…。」

最も敏感な奥で迎える絶頂

しばらくすると、くらげは大きく身もだえし始めました。それは拒絶の動きではなく受容の動きでした。矛は自然に奥へ奥へと運ばれていきました。

「うむっ、ついに奥まで到達したか。」

矛は思う存分自分の力を解放しました。

太さも堅さも最大限になり、その動きは激しさの極致に達しましたが、くらげはそのすべてを受けいれ、いっしょになって激しくうねりました。

矛を持つ二人もこれまでと違った手応えを感じました。

手を放さないようにするのがやっとです。天の浮き橋は今にも消えそうです。

すると天にまで轟く叫びが聞こえました。くらげは絶頂の極みに達したのでした。

「お……お……お……おー!」

「あ……あ……あ……あー!」

ついに矛の先からも粘っこい液体が噴出し、そして静かになりました。

「ヌボコ様、ヌボコ様」

二人の呼びかけにも返事がありません。

二人が引き抜くと、矛は役目を終えて小さく柔らかくなっていました。そして、その先からしずくがしたたり落ち、そこから小さな島が生まれました。

こうして最初の一仕事を終えた二人の身体は汗びっしょりになり、肌は桃色に輝きました。そして二人とも股間がひくひくと波打つのを感じました。

自分たちも早く子を作りたいという気持ちでいっぱいになった二人は、天の浮き橋が消滅すると同時に、その小さな島へと降り立ちました。



【神 喜劇】 日本編 Vol.2

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