【神性喜劇】 日本編

愛と憎しみの交わり

危機を脱したイザナギは桃の木の幹を優しくなでながら語りかけました。

「ありがとう、おかげで助かったよ。」

そして、イザナギは自分だけでなく、人間たちのためにもこんな願いを述べました。

「お前はおれを助けたように、葦原の中つ国で生きている青人草(あおひとくさ)たちが、困った目にあって悩み苦しんだ時には、助けてやっておくれ。」

桃の木は「承知しました」と言うように枝を揺らしました。

「そうだ。お前に名前をつけてやろう。意富加牟豆美命(オオカムヅミノミコト)というのはどうだ。このイザナギの危機を救ったからにはお前は神の列に連なるにふさわしい。」

こうして、桃は日本でも霊験あらたかな植物となりました。そして後の時代には鬼退治をする有名な少年を生み出すことになります。

こうして危機を脱したと思ったイザナギでしたが、まだ安心するのは早いことに気付きました。黄泉ひら坂の向こうから、誰かがやってくる気配を感じたのです。

「あ・な・た…。」

それはイザナギの愛した妻、そして今や黄泉国を支配する女神、ヨモツ大神となってしまったイザナミでした。憎しみに取り付かれた顔はますます凄みを帯びています。

イザナギはその姿をて、思わず桃の木の背後に隠れました。

「逃がさぬ!」

イザナミは桃の木の後ろに回りましたが、その時、枝から桃の実が落ちてきました。桃の実に一瞬ひるんだイザナミでしたが、すぐに気を取りなし、イザナギの衣をつかみました。

「は、はなせ!」

イザナギがイザナミを見ると、イザナミは以前のような柔らかな表情になっていました。そして小さくか細い声で囁きます。

「お願いよ。さっきみたいに私をもう一度いじめてほしいの。ヨモツシコメにしたように…。」

イザナミはそう言うと、イザナギの衣をスルリとはぎ取り露わになったイザナギの股間を、温かい手で覆いました。

「ああ、なんて立派なのかしら。愛しいわたしの夫よ。」

「ねぇなんとか言って?」

「なぜ黙っているの?まだ、女が先に言うべきではないとでも?」

イザナミは、恐ろしい形相に変わり柳眉を逆立てました。

「いいわ!わたしにかかれば嫌でもヒィヒィ言うことになるのだから。」

イザナミは本当はまだイザナギを愛しています。しかし、溢れる憎しみも止めることができません。もはや、自分でも何をしたいのかわかっていないのです。

初めてのアナルの快感

イザナミはイザナギのモノを口にくわえ、じっくりとなめ回しました。

「うっ…、やめろ…。やめてく…れ…。」

イザナギの言葉とは裏腹にイザナミの口の中のモノは固く、大きく、太くなっていきました。そしてその先から液体が少しずつ漏れ出しました。イザナミはそれをすすりました。

「だ…め…だ…。」

イザナギは懸命に辛抱していますが、肌は上気し、ほんのりと桃色に染められていきました。

ちょうどそこへ雷が二人やってきました。さっきの桃娘たちの誘惑では他の雷たちに先んじられてしまい、結局手をつけることができなかった鳴雷(ナルイカヅチ)と伏雷(フスイカヅチ)でした。

「そういえば、お前たちは、あの醜態に加わらなかったわね。そのご褒美をあげるわ。」

イザナミが妖艶に笑うと、二人の雷は心得たとばかり、イザナギの手足を押さえつけました。

「な、何をする。」

イザナミは動けなくなったイザナギのアナルを責め立てました。まずはアナルの周囲からなめ回し、そして穴の中へと舌先を入れました。

「あ…」

「どう、こんな感覚、初めてでしょう? でも、まだまだこれからよ。」

そう言うとイザナミは、イザナギのアナルに唾液をたっぷりと絡ませた指を一本入れていきました。イザナギの肛門はこの刺激に思わず引き締まりましたが、指の進入を阻止することはできません。指はずぶずぶと奥まで入っていきます。

イザナミはアナルの中で指がうごめかせました。指を回転させながら、少しずつ押し開いていきます。イザナギは苦しそうな吐息を吐いています。快感の波に乗ってしまわないように、必死でこらえているのでした。

そして鳴雷がイザナギの背後に回ると、びんびんにふくれあがったモノを一気にイザナギのアナルにねじ込みました。メリメリと飲み込むイザナミのアナルは強く締め付け、鳴雷も思わずのけぞります。

「っ!」

イザナギは痛みか快感かわからないような初めての感覚を感じ、されるがままになってしまいました。

そして伏雷がイザナギの前で尻を突き出し、そそり立ったイザナギの前のモノを自分のアナルに差し込みました。今までにないキツさを感じたイザナギは、自然に腰を動かし伏雷を貫きました。

イザナミはイザナギにねっとりと舌を絡めた熱いキスをしています。糸を引いた唾液は、鳴雷の腰が打ち付けられる時漏れるイザナギの吐息でひきちぎれました。そして、それを舐めとるようにイザナミが再度舌を絡めてきます。

イザナギの腰は止まらず、伏雷に締め付けられる快楽を求め夢中のように感じられました。

後ろから鳴雷のモノの熱を感じ、前では伏雷のアナルの熱を…。

「あぁ…」

鳴雷はイザナミの目配せの合図で、イザナギのアナルからモノを抜き、横へするりとよけました。

イザナミは、はち切れそうになっているイザナギのモノを自分のホトに入れました。

「ねぇあなた私の中に出してちょうだい」

懐かしいイザナミの中に吸い込まれたイザナギは、先ほどよりも激しく腰を振りイザナミを容赦なく突き立てました。

イザナミは、きつい口調で言い放ちました。

「ふん!これで、あなたは私のものよ。あなたも醜くなればいい。絶対帰さないわ!」

イザナミは髪を振り乱し、イザナギの激しさを感じていました。心の中では、またあの頃のようにそばにいられるという嬉しさが込み上げています。

『あぁ…愛しのイザナギ。愛し合った2人の日々。あの頃いつもこうしていた。もう離さないわ。あなたは私のものなのよ。愛しているわ…』

イザナミの頰に1本の雫がつたい、キラリと光りました。

愛する人との別離〜憎まれてもあなたの中に〜

イザナミがもうイザナギを黄泉国に引き入れられたと確信した瞬間、イザナギの姿はふっとかき消えてしまいました。そして、後には、つぶれて果汁が弾けた桃の実が。

「こ、これは…。」

イザナギだと思っていたのは桃の実だったのです。雷たちと同様、イザナミもまた桃の化身にたぶらかされていたのでした。

その間、本物のイザナギは大きな岩を渾身の力を振り絞って運んできていました。人間なら千人がかりでようやく動かせるほどの巨大な岩「千引きの岩」です。

「あ、あなた、何をするの!」

イザナミの叫ぶと同時に、ズズーンと大きな音がして、黄泉ひら坂はその岩でふさがれてしまいました。これで、もう黄泉国の者たちはそこから出ることはできません。

「どうして!? どうして、こんな事をするの!?」

イザナミは叫びました。それに答えてイザナギが重々しく言います。

「悲しいことだが、お前がこちらの世界に出て来られないようにするためだ。」

イザナミが叶えられたと思った夢は、一瞬にして無残に打ち砕かれてしまいました。

「ひどい、ひどいわ…愛しいわたしの夫よ、あなたがこんなことをするのなら…。」

イザナミはヨモツ大神として恐ろしい呪いの言葉を唱えました。

「あなたの国の人草を、一日に千人絞め殺しましょう。」

イザナギとイザナミが人間のことを「青人草」と呼んでいたのは、青々と茂れる草のように繁栄していく人間のたくましい生命力を称えてのことでした。

二人はそれほどまでに人間たちのことを愛しく思っていたのでした。

ところが、ここでイザナミが「人草」と呼んだ時、人間は簡単に引きちぎることのできる草のような存在になってしまいました。草むしりでもするかのように、人間の命を平気で奪うことができるのです。

ああ、あれほど人間を愛したイザナミが…イザナギは絶句しました。イザナギは、心の底からこの妻にきっぱりと別れを告げなければならないと思いました。

イザナミとの約束を破って彼女の姿を見てしまった自分が悪いのだとは思っていました。しかし、関係のない人間にまでとばっちりが及ぶのを許すわけにはいきません。このままでは人間は滅びてしまいます。

イザナギはヨモツ大神の呪いそのものを無効にすることはできません。けれども、新しいまじないをその上から加えることはできます。そこで、こう宣言しました。

「愛しいわが妻よ、お前がそうするというのなら、おれは一日に千五百の産屋を建てよう。」

これが日本の国土を生んだ夫婦神の最後の会話です。

こうして、この世界では一日に千人が死に、千五百人が生まれることになったのでした。

愛が憎しみに変わり、それでも愛の根は消えずイザナミを苦しめました。イザナミはイザナギを憎みたくはなかった…。だからこそ、自分があれほどまでに愛した青人草を葬り去ると決めたのです。

自分自身を苦しませ続けることが、イザナミの最後の手段でした。

そして、憎まれてもイザナギに常に思い出して欲しい。愛する人の中で、鮮明に生き続けたいという願いあってのことでした。

イザナミ…いいえ。ヨモツ大神の頰をつたった涙そして彼女の心を、イザナギが知る由もありません。




【神 喜劇】 日本編 Vol.21

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