目次
イザナミの火照るところ
イザナギとイザナミのセックスはどんどん豊かなものになっていきました。
まずはいつものようにイザナギがイザナミを腹ばいにした姿勢で背後から抱きしめます。イザナミの乳房はとても感じやすく、揉みしだかれるとすぐに乳首が反応します。
「あっ。」
それからイザナギの手がイザナミの下の方へ伸びていきます。
「ここがいいのかい?」
「そう、そのほ……と……。ああ…。」
「今、なんて言ったんだい。」
「ほ…て……と…こ……。」
「よく聞こえないよ。」
「火照る…ところ…。」
「火照るんだね。ここをいじると…。」
「そう…、この…ほ…と…。ああ!」
こうして、初めは「合わさらないところ」と言っていた体の場所に名前がつきました。
イザナミが火照るところ、イザナギの精を受け入れるところ、そして子を生み出すところを「ホト」と呼ぶことにしたのです。
「ホト」が名前につく女性も登場しますし、天皇の墓の場所を説明するのに「ミホト」という言葉が使われています。つまり「ホト」は、とても神聖な言葉なのです。
これを表記する万葉仮名も良い意味の漢字が選ばれています。考えてみれば、人間や動物はみな女の「ホト」から生まれるのですから、素晴らしいものとされたのは当然です。
ところが現在では、女性器の名前はなぜか口に出すことすら憚られています。「おまんこ」「おめこ」「ぼぼ」「べべ」など様々な言い方がありますが、みな下品な言葉とされています。それで「お××こ」などと表したりもしますが、こんなふうにするとよけいに卑猥な感じがしますね。
男の子が自分の性器を平気で「ちんちん」と言えるのに対して、女の子が「あれ」「あそこ」などとしか言えないのは、自分の身体にプラスイメージを持つことが難しいからではないでしょうか。
神様の言葉責め
イザナミの大切なところに「ホト」と名前がついてからは、二人のセックスはいっそうバリエーションが豊かになっていきました。
「ホト…。」
イザナギがそうささやいただけで、イザナミのホトは熱を帯び、濡れてきました。
「ああ…、すてき…。」
「ホトをどうして欲しいのか、ちゃんと言ってごらん。」
イザナギは、イザナミに囁きます。
でもイザナミは、あらためて言われるとその言葉を言うのをためらいました。
「いやん…恥ずかしいわ。」
「なぜ、恥ずかしいんだい?」
「どうして欲しいのか言わないと、わからないだろう。『ホトに挿し入れて』ってちゃんと言わないと、してあげないよ。」
「なぜそんなことを言わせたいの?」
「なぜだろう…?何だか、胸がゾクゾクするんだよ。」
「ほら。こうして欲しいのか?」
イザナギはイザナミを仰向けにし、上から覆い被さりました。まだイザナギは入ってきません。イザナミのホトの先だけが、固くなったイザナギのモノでこすられます。
「ああ、いい…。いいわ…。もっと…。」
イザナギは少しだけ入れてみます。
「もっとって、何をもっとなんだい?」
「あああ…。」
それから抜こうとしました。
「だめよ…抜かないで。」
イザナミはイザナギの腰に回した手で、イザナギのものが抜けないように阻止しようとしますが、イザナギは容赦なく抜いてしまいました。
「なぜだい?ホトに入れたら気持ちいいのか?じゃぁ『ホトに入れて』って言ってごらん。」
イザナギは、焦らすようにホトの辺りにぐるぐると擦り付け、イザナミの表情を見つめました。
とても艶っぽく高揚した様子のイザナミを見ると、たまらない気持ちになります。
「いやっ!お願い…よ…。私…のホ…トに、早く入…れて。あぁ。」
「聞こえないよ。もう一回。ちゃんと大きな声で。」
イザナミは、いやらしい言葉を言わせたり焦らす行為を楽しみます。
「あ…ぁ…。……ホト…に入れて…。」
「よく言えたね。じゃぁ入れてあげよう。」
こうして、現在の言葉責めプレイや焦らしプレイが始まりました。イザナミは、イザナミの羞恥心を煽ることで支配欲が満たされ、より興奮したのです。
あれこれの体位を試してみる
イザナミのイザナミの反応を十分に楽しんでから、今度は自分が仰向けに横になり、その上にイザナミを座らせました。
「おれの上に座ってごらん。」
こんな体位は初めてです。イザナミはおそるおそるイザナギの上に座りました。真下から突き上げられてイザナミはこれまでとはまた違ったしびれるような感覚を得ました。
「ああああああ!」
「どう?」
「いい…、いいわ。」
イザナミはそう言うと自分から身体を大きく揺らせました。これまで自分が下になっている時にはできなかった動きです。
「ん、ん、ん…。」
イザナギにとっても新しい感覚です。これまでは自分が一生懸命動いていたのですが、イザナミが動いてくれるのです。
「はあ、はあ、はあ…。」
イザナギとイザナミの身体の動きが同調していきます。
「あああああ!」
もうどちらが先にイッたのかわからなくなってしまいました。でも、もうそんなことは二人にとってはどうでもいいことでした。
次々に生まれる子どもたち
セックスを楽しんだイザナギとイザナミが次に生んだのは、伊予之二名島(イヨノフタナノシマ)でした。この子どもはなんと一つの体に四つの頭が付いていました。
四つの頭は、それぞれ国の名前と神の名前がつけられました。
- 伊予(イヨ)の国は愛比売(エヒメ)ともいい、美しく愛らしい女性です。
- 讃岐(サヌキ)の国は飯依比古(イヒヨリヒコ)ともいい、豊かに米を実らせる男性です。
- 粟(アワ)の国は大宜都比売(オオゲツヒメ)ともいい、食事の采配の上手な女性です。
- 土左(トサ)の国は建依別(タケヨリワケ)ともいい、勇猛果敢な男性です。
この子どもは淡路島よりもさらに大きな島に成長しました。現在の四国です。
イザナミにとって出産は苦痛を伴います。出産の最中は、「こんなことはもう二度とごめんだわ」と思いつつ、生んでしまうと苦しみは去ってしまいます。
そして、イザナギにホトを優しくなでられると、また感じてくるのでした。
次に生んだのは三つ子でした。
隠岐之三子島(オキノミツゴノシマ)という島になりました。小さな島ではありますが、天之忍許呂別(アメノオシコロワケ)という立派な名前がつけられました。外国への玄関口という重要な役割を持つことになります。
その次に生んだのが、これもまた一つの体に四つの頭が付いている子どもでした。
- 筑紫(ツクシ):白日別(シラヒワケ)
- 豊(トヨ):豊日別(トヨヒワケ)
- 肥(ヒ):建日向日豊久士比泥別 (タケヒムカヒトヨクジヒネワケ)
- 熊曾(クマソ):建日別 (タケヒワケ)
水蛭子のその後
こうしてイザナギとイザナミは次々と子どもを生んでいきました。
でも、あの捨てられた水蛭子はどうなったのでしょうか。
実は、その後、海岸に漂着し、優しい人に育てられたのです。捨てる神あれば拾う神ありといったところです。
成長した水蛭子は人々に福を与える神様となりました。捨てた両親を恨むこともなく、いつも笑顔で、海の幸を抱えています。
そう、水蛭子は恵比寿(えびす)になったのです。これは古事記や日本書紀からすると遠い未来の話になります。しかし、今の私たちにはとても馴染みのある神様の一人ですね。
【神 性 喜劇】 日本編 Vol.6