【BL官能小説】友達と恋人 Vol.1

友達でなくなった瞬間

「もう少しだけ付き合ってくれないか?」

煌太の記憶は、切実な表情で言う蓮夜のその言葉が最後だった。

(何だ…?)

何とも形容できない違和感を股間に感じた煌太は、真っ暗だった視界を恐る恐る開けた。視線を円盤型の蛍光灯から、股間に移した。

「ああ。起きたか、煌太」

平然とそう言ってきたのは、ついさっきまで一緒に飲んでいた蓮夜だった。煌太にそんな言葉をかけると、彼は目の前にある赤黒い肉の塊を口に含んで、舌を這わせた。

「何やってるんだ…!?」

煌太は瞬きを数回して意識をはっきりさせると、バッと上半身を一気に起こし、少し裏返った声で蓮夜に聞いた。

「フェラチオ」

驚きで目を丸くする煌太とは反対に、蓮夜はこれまた冷静に答えた。

「そんな事を聞いているんじゃない…!」

不思議そうな眼差しに似合わない、鋭い口調で尋ねる彼から、煌太は答えを後ろめるように視線を反らした。

「…とりあえず、離してくれないか?」

「嫌だ」

ピシャリと答えた蓮夜は煌太の下半身から離れて体を起こすと、自分のパンツのベルトを外して前をくつろげだした。その先には、下着でも隠し切れない膨らみがくっきりと姿を現した。

(オレのを咥えてこんなになったのか…?)

完全に変態した、蓮夜の昂りを目の当たりにした煌太は、自分の事のように体中を熱くして、冷静になりかけていた気持ちを再燃させた。その彼の意思を伝えるように、下を向きかけていた、煌太の肉棒も完全に上を向く。

自分の気持ちで一杯一杯で煌太の姿が視界に入っていない蓮夜は、下着も脱いで下半身だけを露出させた。すると、天井を向いた煌太の肉棒の上に股がり、腰を落としていく。

「おい、止めろ!」

蓮夜が何をしようとしたか解った煌太は、慌てて彼の腰を掴んで動きを止めた。

「離せ…!」

煌太の手から逃れようと蓮夜は体を捩るが、びくともしない。煌太にとって、自分よりも小柄な彼の動きを封じるなど難しくはなかった。

「女相手が良いなら、目を瞑って想像すれば済むだろう」

「違う、そうじゃない」

「だったら、何だって言うんだ」

「落ち着け! お前らしくないぞ」

煌太らしくない地を這うような声で諭すように言われた蓮夜は、威圧されたのか、捩っていた体を止めて、萎縮したように口を閉ざした。

借りてきた猫みたく大人しくなった彼を見て、煌太は男にしては細い腰から手を離した。

「…お前が好きなんだ、ずっと」

口を閉ざしていた蓮夜がポツリと言い、その言葉を皮切りに彼は言葉を紡ぎ始めた。

「気持ち悪いと思われたっていい、縁を切られてもいい。でも、今だけは僕に付き合ってくれ」

煌太に考える間を与えない勢いで、矢継ぎ早に言いたい事を言った蓮夜は、拘束から解放された腰を落とそうとする。

やっぱり聞く耳を持たない、蓮夜の腰を再び拘束した煌太は、そのままソファの上に彼の体を下ろした。

2つの昂り

煌太は変わらず天井と垂直になっている性器を、全く同じ状態の蓮夜のそれを一緒に片手に収めた。

「煌太…?」

「何もしないで入れたら、蓮夜の負担になるだろう」

予想外の展開に戸惑う蓮夜を目の前に、煌太は手にしている2つの昂りを上下に擦り始めた。

長年連れ添った熱と、自分のそれより幾分か熱く感じる熱。潔癖症の煌太にとって、他人の体温と合わさる感覚は違和感でしかない。ましてや、男同士で性器を擦り合わせるなんて言語道断だ。

しかし、相手が蓮夜だと思うと、そんな考えは跡形も無く消え去った。

愛しい、一緒に快楽を共有して1つに溶け合いたい。そうとしか考えられなかった。

手の動きを速くしたり、時には遅くしたり。強く握ったり弱く握ったり。速度や力の強弱を変え、一瞬一瞬で異なる刺激を与えた。

「っ、煌太、」

眉間に皺の皺を濃くして、助けを請うように熱っぽい声で彼の名を口にする。

予測不能な煌太の手の動きによって与えられる、蕩けそうな程に熱い感覚は、蓮夜をより深い官能の海へ誘い込む。

「ぁっ、止めろ、煌太…それ以上は、」

彼の手の中で蓮夜の熱が大きくなり、ビクビクっと小刻みに振るえる。それは、蓮夜が悦楽の高みの寸前まで来ている事を示していた。

「イけ、蓮夜」

煌太は自分の肉棒を手から離して、蓮夜のそれを集中的に擦り上げ、彼を絶頂寸前の悶絶から解放しようとする。

「煌太っ…!」

理性と本能の狭間に置かれた蓮夜は、悩ましげな声で煌太の名前を何とか口にすると、全身に力を入れて高みに到達した。

彼の尿道口から、蓄えられた精液がビュルッビュルッと吐き出され、遺伝子が濃縮された飛沫が煌太の手を汚す。

「すまない、かけてしまって」

射精して理性を取り戻すと、蓮夜は眉を八の字にして、申し訳なさそうな声で煌太に謝った。

高校、大学と7年間の学生生活を蓮夜と共に過ごした煌太。

彼の知っている蓮夜は、皆の前ではいつも気丈に振る舞っていた。だが、そんな凜とした蓮夜の姿は、目の前には居なかった。

しかし、余裕のない彼のその姿は、煌太の扇情を酷く揺さぶった。

「場所、変えるか」

焦燥感すら窺える表情の蓮夜の体を軽々抱き上げると、煌太はリビングを後にした。

余裕のない2人

自室に移動すると、煌太はベッドの上に蓮夜を寝かせた。

すると彼は何故か、机の1番下の大きい引き出しをゴソゴソと漁り出した。すると、彼はローションが入った半透明の小さなボトルを片手に、ベッドに戻った。

「…そんなの、持ってるのか」

「…たまたま」

からかうような笑みを浮かべて言う蓮夜に、煌太は恥ずかしそうにそう答えるとボトルの蓋を開けて、掌にローションを垂らしていく。ねっとりと透明の液体を掌同士で擦り合わせて、指先まで馴染ませた。

ローションを纏わせた中指で、余分な脂肪が殆んどなく引き締まった蓮夜の尻の割れ目をなぞり、その奥の控えめな窄まりを撫でた。

「っ、」

ローションが冷たかったのか、そこを撫でると、蓮夜は僅かに肢体を魚のように跳ねさせた。

「すまない、少し堪えてくれ」

そんな蓮夜を気遣うように言葉をかけると、煌太は口を閉じているであろう、排出口に指先を突き立てて埋め込もうとする。

(あれ?)

しかし、予想に反して、蓮夜の入り口は既に柔らかく解れており、煌太の指先を難なく飲み込んでいく。

「驚いただろう?」

感情がそのまま出ていたらしい煌太に、蓮夜は悪戯っ子のような笑みで言う。

「前戯が要らないくらいには、拡がっている。だから…
早く、僕を煌太のものに、してくれ」

そう言って、蓮夜は煌太の首に腕を回して、彼の体を抱き寄せた。離れないでくれ、回された腕にそんな気持ちが込められているように、煌太には思えた。

「…痛かったら、直ぐに言え」

青白い炎のように静かに燃える、煌太の熱情を阻む物はもう無かった。

蓮夜の腕をそっと解くと、煌太は彼の脚を左右に限界まで開かせて、未だ射精を待ち望んで脈打つ硬い熱棒を、ローションが付着した窄まりに当てた。

そして、ゆっくり腰を進めて、慎重に侵入していく。

「ぃっ、」

鈴口を中に埋めると、蓮夜はほんの少し眉をしかめると、ぎゅっと全身に力を入れて、短く低い呻きを漏らした。

「痛いか?」

「平気、だ。続けろ、」

痛みより異物感を感じながらも、蓮夜は煌太に訴える。自らの指先や玩具で拡げたとは言え、長さも太さも煌太のそれには及ばない。だからこの程度の痛みや異物感は、蓮夜にとっては何て事はなかった。

悦楽ではなく痛みを与えないか煌太は心配だったが、彼の切迫な訴えを跳ね返す事もできなかった。

止めていた腰を、またゆっくり進めていく。

夢見た一体感

「熱いな、煌太のは」

鈴口から亀頭部と煌太を奥へ迎え入れる度、入り口が限界を超えて拡がり、それと同時に、メリメリと引き裂かれるような痛みが蓮夜に襲いかかる。

煌太に気を遣わせないよう、彼は軽口を叩いた。

「っ、放っておいて、くれ」

拡がりながらも、煌太の形を覚えるように絡んで締め付けられる感覚。感じた事の無かった、ドロドロに溶けそうな熱さ。

蓮夜が与える感覚や体温は、煌太を魅了する。彼はシーツを握って指先、腹筋にも力を入れて理性を繋ぎ、少しでも吐精感を紛らす。

やがて、煌太の下生えと蓮夜の下生えが重なる程に、2人は密着した。

「…痛いか?」

「いや、」

(今、オレは蓮夜の中に居る)

そんな事実に、煌太は酔いしれ、心身が満たされて行くのを感じた。

恋人とのセックスでも、こんな一体感を彼は感じた事が無かった。

ドクン、と煌太の熱は蓮夜の中でまた質量を増大させた。

「正直だな、体は」

余裕ぶって、蓮夜はまた煌太をからかった。

「そう言っていられるのも、今だけ、だ」

自分だけ切羽詰まっている状況が気に入らない煌太は、少し腰を動かした。

「ぁっ…!」

掠めた場所が前立腺だったらしく、遠慮がちだが上擦った声を上げ、一際大きく体を跳ねさせた。緩い勃ち上がりだった蓮夜の熱が、一気にピンっと起立した。

その熱くて硬い彼の屹立を緩く上下に擦りながら、ゆっくり腰を動かして遅いピストン運動をする。

「ぁっ、ぁっ、…そんな突くな、」

煌太の鈴口が、蓮夜の奥深くにある前立腺を突き上げれば、彼の表情から余裕が消えて悦楽に歪む。

すぐ快楽に喘いだ蓮夜に満悦になった煌太は、彼の屹立から手を離して、律動を速くした。

「ぁぁっ、煌太っ…!」

与えられる悦楽に悶絶する蓮夜は、意思とは関係なしに煌太を締め付け、脆くなった彼の理性を断ち切った。

(もう限界だ)

煌太は腰を激しく動かして、更にピストン運動を速めた。

「煌太っ、ダメだっ、…そんな動くなっ、」

頭が真っ白になりそうな感覚になりながら、蓮夜は目に涙を一杯溜めて、泣き出しそうに振るえた高い声で訴えた。

「蓮夜、好きだ…!」

低くて安定感のある、逞しい声で言われたその言葉は、蓮夜の心に強く響いた。蓮夜の目から涙が溢れる。

煌太は腰の動きを止めないまま、そんな彼の頬をがっちり固定して、唇を重ねた。

「煌太っ、」

2人はお互いの名前を呼び合うと高みに到達し、ほぼ同時に精を吐き出した。

蓮夜の中に、限界以上に押さえ込まれていた煌太の精が、今日初めて吐き出される。

(煌太が僕の中に、)

(蓮夜の中でイけた、)

お互いに叶わないと思っていたこの瞬間。

乱れた吐息を吐き出しながら、それが叶った2人は、お互いの鼓動が聞こえる程に体を密着させて、この上ない幸福を噛み締めた。

つづき ⇒ 友達と恋人vol.2

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